求人広告屋の掘った穴

記事には書けないことを、吐き出したい。

コミュ力信仰を止めれば、中小企業でも優秀な人材を確保できるかも。

「やっぱりコミュニケーション能力かなぁ」
「コミュニケーション能力は必要」
「コミュニケーション能力がない子は、ダメだね」

こないだ、こんなことを書いたけど、
新卒採用の現場で、やはり「コミュニケーション能力」という言葉は、
ウンザリするほど耳にする。
大手から中小まで、規模も業界も職種を問わず、どんな企業の人事担当者も口にする。

その度に思うのだけど、「コミュニケーション能力は入社後、鍛える」
という発想はないのだろうか。

ビジネスマナーや専門的な知識や仕事のノウハウなどは、入社後、教えるけど、
コミュニケーション能力に関してだけは、一定の水準を入社前から求める。

いや、分かる。そもそも学生に仕事上の能力なんて期待できないんだから、
せめて普通に話せる人間がいいし、明るいキャラクターの方が先輩とかクライアントのウケもいい。
というのは分かる。

分かるんだけど、結局、失敗してないかと思うのだ。
特に新卒採用弱者である中小企業は。
もっと言うと、明るいだけの無能を採用する結果になっていないだろうか。

その他の能力:高 その他の能力:中 その他の能力:低
コミュ力:高 A B C
コミュ力:中 D E F
コミュ力:低 G H I

すごく、大雑把な表をつくってみた。
「その他の能力」というのは、最近、よく企業から言われるようになった
「地頭」でもいいし「学歴」でもいいし、
その企業で必要とされるコミュ力以外の能力と思ってもらえばいい。

で、どの企業も採用したいのは「Aグループ」だ。
ここは採用力の強い、超大手とか人気業界がこの上澄みを持っていき、
残りを大手企業が持っていく。

その後も、採用力に比例して「Bグループ」「Dグループ」「Eグループ」と、
上から決まっていく。
※もちろん、例外はたくさんある。でも全体の傾向としてはこんな感じだ。

そして採用力に欠ける中小企業は、大手、準大手、中堅などの残した
C、F、G、H、Iグループから選考を行うことになる。

ここで中小企業の担当者は、グループCやグループFの人材を採用する傾向が高い。
それはコミュニケーション能力を重視しているからだ。
※建築や機械など専門性を求める企業をのぞいて

でも、本当にそれで成功しているのだろうか。
例えば、入社後、数年しても企画の一つもまとめられなかったり、
報告・連絡・相談の質が悪くて、社内の業務や外部との連携が上手くいかなかったり、
という社員になってしまっていないだろうか。

そもそも面接という選考形式自体がコミュニケーション能力の中でも、
かなり口頭コミュニケーションと対人スキルという、限定した分野を問う手法だ。

前回、書いた「キャッチボール的コミュニケーション能力」よりも、
「テニスサークル的コミュニケーション能力」が前面に出やすく、そこだけで判断しがちだ。

だから、なんとなく明るいだけのキャラクターを採用してしまう。

そこで、僕が提案したいのは、コミュニケーション能力を重視する他の企業の、 逆張りをしてはどうかということだ。

コミュニケーション能力は、入社後、育てると割り切って、
それ以外の能力を重視し、「Gグループ」「Hグループ」を採用する。

そうすればポテンシャルの高い人材を採用できるし、
長い目で見れば、その方が会社のためになるのではないだろうか。

コミュニケーション能力に目をつむるだけで、採用の選択肢はグっと広がる。
コミュニケーション能力を鍛えられるノウハウを構築すれば、採用上の強みになる。

たぶん、多くの人が知っているように社会人を何年か続けていけば、
コミュニケーション能力なんて、ついていく。

だから人事担当者のみなさま、そろそろ無意味な
コミュニケーション能力信仰を止めませんか。