求人広告屋の掘った穴

記事には書けないことを、吐き出したい。

「やっぱり、女の子の方がよくみえちゃうよね〜」と今年も多くの人事担当者が言うはず

「ちょっと増田さん、これ見てよ。今年の就職試験の合格者」
「あ、結果決まったんですね。ふんふんなるほど。今年も女ばっかですね」
「ほんとこの女性率。ひどくない?」
「男女比1:9くらいですかね」
就職試験が終わったらしい-http://anond.hatelabo.jp/20130809210245

「やっぱり、女の子の方がよくみえちゃうよね〜」というのは、
新卒シーズンになると、業界を問わず多くの人事担当者や経営者から毎年聞く言葉である。
上記のエントリーでは、試験の結果としているが、むしろ面接などの印象も含めて、
総じて女性の方が評価が、高くなりやすいという話が多い。

だから

「ぶっちゃけ現場としては男の子欲しいんだよね。女の人ってどうしても結婚出産育児あるからさ」

というような事情もあり、 男女共にバランス良く取りたいという人事担当者は頭を悩ませるのだ。

その理由としては、

大企業以外だと割とデフォだね。
優秀な男は大企業に行ってしまうけど、女は優秀でも大企業にはなかなか入れず中小に流れてくるから。
http://anond.hatelabo.jp/20130809214213

というようなこともあると思うが、それだけではないと思う。
やはり就職活動における選考においては、女性の方が高い評価を得やすいのだ。

まぁ、これはもちろん女性の方が男性より能力が高いなんて話ではなない。
どちらかと言えば「女子の方が早熟よね」みたいな話だと思う。

実際に面接をしてみたりすると、より実感できるのだけど、
女性の方が、いわゆる「地に足のついた」考え方をする人が多い。

なんというか、就職活動を
ある種の自己実現の場と無邪気に捉えているのが男性
生きていくための職を獲得するための場と捉えているのが女性
というイメージだ。
※もちろんこれは全体的に見るとそういう傾向があるよねという話。

そんな男性側の態度や意識が、幼稚さや社会性の欠如に見えて、
面接などでも、「女の子の方が、シッカリしているよね」という話になりがちなのが、
女性の方が就職活動における選考において上位にきやすい理由だと思う。

「ふわふわした気持ちで入社されて、すぐに辞められても困るしね」
というような台詞も毎年のように聞く言葉だ。

結局「男性はロマンチストで、女性は現実的」というような、
クソみたいに俗っぽい話になってしまって申し訳ないけど、ある側面では事実だと思う。

当然、それが最適な選考基準なのかというと全く違う議論だと思うし、
そうも思わないけど面接官も人間である以上、やはりそんな印象に振り回されてしまう。

ということで、就職活動中の男性の方は、
その辺り気をつけると勝率も変わってくるかもしれません。

僕が、ある種のブラック企業をイマイチ断罪できない理由。

居室が狭く危険な「脱法ハウス」に関し、女性限定物件が増えている。業者側は「男性がいる物件よりトラブルが少ない」とアピールし、厳しい雇用環境を背景に女性がターゲットになっているとみられる。そうした物件に3月まで1年暮らした女性(33)が取材に応じた。部屋は2畳で、ネズミが走り回る劣悪な環境。それでも「脱法ハウスは生きるために必要でした」と言う。他に受け皿はないのか。
脱法ハウス:増える女性専用…元住人「低収入、親頼れず」 毎日新聞

こんな記事が話題になっていた。
なんか似たような構図が身近にあるなと思ったら、
ある種のブラック企業の内情を知る度になんとなく思っていることだった。

ブラック企業というと、ちょっと射程が長過ぎる。
ここでいうある種のブラック企業とは「体育会系パワハラ営業会社」のことである。
具体的に言えば、投資用不動産の営業とか企業の通信やOA機器の営業とかが多い。
まぁ、こういう企業は一般的な感覚から言えばブラック企業だと思う。
朝から晩まで、電話機にしばりつけて何百件と電話をかけさせ、
成績が悪ければ罵倒し人格を否定し水をぶっかける。
僕ら求人広告の業者が来てるのに、その目の前で怒鳴りつける。

ただ、その一方で採用においては学歴や職歴なんてほとんど気にしない。
まぁ、それは社員がドンドン辞めて、常に採用を行わなければいけなくて、
ついでにそんな実情もバレているので応募数も少ないからではあるけど。
高卒だろうが中卒だろうが、フリーターだろうか、派遣社員だろうか、
就活失敗したニート
だろうが、
「ある一定のボリュームで日本語を話せる」という程度の基準で、
とりあえず採用して、働かせて、成果がでなかったら辞めるだろという具合だ。

しかも成果さえ出せば、ドカンとインセンティブなどで金銭的には報いてくれるし、
ポジションもくれて罵倒する側にしてくれる。そういう意味では、すごく公平な人達だ。
下手をすれば、そこそこいい大学を卒業して、そこそこ大きめの会社に入ってという
同年代の人よりも高い年収などを得ることも可能だ。

いや、そこまでの成功をおさめなくても、
例えば、全く職歴がなかった人が、そこで最低限の成果をあげながら
2〜3年つとめることができたのなら、それは一つの職歴になる。
少なくとも転職先の選択肢は、その前に比べてグっと広がっているはずだ。

だから僕は、この手の企業を「ブラック企業が!」と断罪することがいまいちできない。
新卒一括採用という日本の雇用慣習から足を踏み外した人達にとって、
この人達がセーフティネットになっているというのはある側面からでは事実だからだ。
しかも実際に取材して、そんな人達の話を聞いているからなおさらだ。

もちろん、そういう人達の弱みにつけこんでいるという批判も的を得ていると思うし、
そこで成功した人達の足下には屍の山が築かれていることも分かっている。

でも、じゃあ、どうすればいいのかというと、やっぱり答えはない。
ということで冒頭の記事の話しとなんとなく似ているなぁと思ったわけです。

残業ゼロのホワイト企業の割合を、自分の仕事から適当に類推する。

正社員で、残業ゼロの仕事。

夢のような話かもしれないけど、実際に世の中には、そんな職場がある。
僕もこれまでに何回か、そのような企業を担当し広告を制作したことがある。
もしかしたら、おいおいそんな企業が求人広告業者に言うことなんか
ウソばっかりじゃないのか、と思うかもしれないが、そんなこともない。
以前も書いたように、あまりにも大きな嘘だと
大きなトラブルになるので、こちらもしっかり裏を取るし、
企業側もそこまでのリスクはなかなか取らない。
大体、本当にそういう会社には17時とか18時とか
定時以降に電話をかけると繋がらなかったりする。

だから、正社員で残業ゼロの職場というのは実際にあるのだ。
で、ふとそんなホワイト企業というのは、
どれくらいの割合であるのか気になったので
ちょっと類推してみようと思った。

僕が1年間につくる求人広告の本数を調べてみると、昨年で大体500本弱。
その中から、残業ゼロの募集を
下書きのテキストデータから検索したりして探すと、2本。
つまり雑すぎる類推によると250社に1社は、
そんなホワイト企業ということです。全体の0.4%。

※まぁ、もちろん厳密に言えば僕が担当しているのは特定の職種の募集なので、その職種(例えば経理)では、残業ゼロでも他の職種(例えば営業)では残業があるということは普通にあるし、同じ会社の広告も制作しているので、正確には250求人に対して1求人ということでしょうか。

ちなみに、こういった募集にどれくらいの数が集まるかというと
信じられないくらい、多くの応募が集まる。

例えば、ある残業ゼロ募集では平均相場の20倍強の応募が集まった。
たぶん倍率にすると300倍。
あまり大きな会社ではなかったから応募者の対応で
てんやわんやになってしまって、そういえば掲載を途中で止めたのだった。

ということで残業ゼロの職場を探す方、
丹念に求人媒体を探せば、運良く見つけられるかもしれませんよ。

求人広告で、いつ何時も「オープニング」が強調される理由。

答えは簡単、 応募者が集まるからである。

「オープニングスタッフ募集」
「スターティングスタッフ募集」
「新事業部立ち上げメンバー募集」

求人広告においては雇用形態や業態、職種に関係なく、
やたらと「オープニング」が強調されることが多い。

他にどのような訴求点があっても「オープニング」であれば、
それが最優先の訴求点になるケースがほとんどだ。

これ少し考えると不思議ではないだろうか。そこまで言う必要があるのかと。
僕も、この仕事を始めた時は
「何も、そんなバカの一つ覚えみたいにオープニング、オープニング言わなくても」
と思っていた。

でも、やがて事情が分かり始めた。

それは単純に、応募効果が高くなるのである。
まったく同じ条件で、オープニングか非オープニングかで比べた場合、
かなりの違いになると思う。もちろん実感値だけど。

それがなぜかということを考えると、
やっぱり誰もがすでにできあがった人間関係に新しく参加する、
いわゆる「転校生の憂鬱」が嫌なのである。

まぁ、気持ちは分かるんだけど、ここまで結果に差が出てくると、
そこまで嫌なのかと驚いてしまう。

これがアルバイトだけでなく、
それなりに社会人としての経験もある中途採用でも同じ傾向なのだから、
なんだか笑えてくる。

いい大人になっても、「転校生の憂鬱」は嫌なのである。
かくして今日も求人広告媒体は「オープニング」という言葉で埋め尽くされるのです。

『B型の人NGって、書けないかな』と、その人事担当者は真顔で言った。

最初は冗談だと思ったけど、至ってまじめだった。

国籍、人種、性別、出身地…
世の中には、色々な就職差別がある。

先天的な、本人にはどうしようもない要素を
採用上の判断に適用すること。知識としては知っているし、
求人広告をつくる上でのタブーとして、教えられてはいたけども、
実際、「男性を採用したい」「女性を採用したい」という性別を除けば、
そういったニーズを企業から聞くことはなかった。
※そう思うと就職上の性差別というのは、かなり一般的だ。

だから、油断してたのかもしれない。

確か、営業職の募集だったと思う。
取材も一通り終わった雑談中、なぜか血液型性格診断の話になっていた。

ちなみに僕は、血液型性格診断なんて、
本当に無意味な、社会的害悪だと思っているので、
友人が家族や、そんな話題を口にすると、わりと露骨に嫌な顔をする。

もちろん社会人としてのたしなみはあるので、
その時は、適当に相づちをうっていた。

そこで、『B型の人NGって、書けないかな』。
という担当者の発言があったのだ。

非常に温厚で常識的な人だったから、
最初は冗談だと思って、「ハハハ、そうですね〜」
と、これまた適当に相づちをうっていたのだが、
担当者の方は、いつの間にか真顔になっていて、
こう続けるのである。

『そうなんだよね。B型の人って使えないから、
やっぱり応募されても困るからさ求人広告に書きたいんだよね』

あっ、これはマジだ。

「さすがに無理ですね」と少し苦笑い言ったら、
『ですよね』と納得していただいて、ホッとしたのだけど、
よくよく考えれば、笑い話ではすまない。

ということで、面接などで血液型を聞いてくるような企業は、
クソなので、その場で席を立ちましょう。

求人広告営業マンの本性を見分ける方法。

身内の恥をさらすようなのだけど、求人広告の営業というのは
他の業界の営業と比べてもあまり質が高いとは言えない。

商品が分かりやすく、売るのに
専門的な知識が求められない(本当は、必要のはずだけど)から、
キャリアが浅くても一人前の顔して売れるので、玉石混淆で、石が多い。
実際、新卒一年目でも明るく元気なら売れちゃうような世界なので、
それはそれでいいのかもしれない。

で、力量に差があるのは仕方ないと思うのだけど、
まったくもって嫌になるのが、クライアントの採用成功なんて、
なんの興味もなく、とりあえず数字さえ上がればいいという営業マンの存在だ。

そりゃ営業である以上、数字を追うのは当然だ。
でも、クライアントを、叩けば自分の数字を吐き出す
便利な機械
くらいにしか思ってない、最低のモラルのヤツがいる。

広告枠が売れればOK。後は、野となれ山となれ。
むしろ採用に失敗した方が、また出稿してもらえるかもとか思ってる。

こういう手合いとの仕事は、本当にイライラする。
別にキレイ事を言いたいわけじゃないけど、
お金をもらった分は、当たり前の仕事をするのが筋じゃないだろうか。

でも、不思議なことに、こういうタイプの営業は、お客様ウケがいい。
たぶん後先考えず、威勢のいいことを言うからだと思う。

じゃ、どうやって自分の会社に営業にきている、
求人広告営業マンの本性を見分けるのか。

それは全く相場とは合わない掲載の依頼をしてみることだ。
例えば、
ITエンジニア×経験者の採用をアルバイト媒体の小さい枠で。
一般事務×未経験の採用を、正社員系媒体の上から2番目くらいの大きな枠で。

「え、そんなの採用できるわけないじゃん。常識的に考えて」
「え、そんな採用に、そんなにお金かける必要ないじゃん」

というのをお願いしてみる。まず、それで2つ返事で承ったら、
そいつは、たぶんあなたの会社の採用のことなんて、何も考えていない。
少し知恵の回るタイプなら、予防線は張るかもしれないが、結局は受けるはずだ。

ちなみに、本当に採用の相場とか媒体に関する知識がない場合も考えられるけど、
それはそれで無能であることが分かるので、いいと思う。

インターン=格安な労働力。という企業に気をつけよう。

リクナビ2015 インターンシップ&キャリア マイナビ2015 マイナビインターンシップ

2015年卒業生向けのインターンシップ募集大手ナビサイトが、オープンした。
こうして大手ナビサイトが、インターンシップ向けのサイトを、
オープンするようになったのは、確か2012年卒業生向けのサイトからだ。
つまり就活の解禁時期が、3年生の10月から12月まで、後ろ倒しにされた年である。

その意図はかなり明確で、2ヶ月遅れる広報タイミングを、
インターンシップという体裁で、実質的に早めることと、
企業に対して学生との接点を増やすことで、
採用活動が短縮化することを防ぐことにあったと思う。

有り体に言えば
「いい学生がいれば、唾つけちゃえよ」というわけだ。

メディア側としては、そうすることで、
少しでも介在価値を落とさないようにしようという、
苦肉の策だったんだと思う。

まぁ、それはいいとして
どうも、それをキッカケとして
妙な風潮が一部の企業に広がっている気がする。

その風潮とは、
「インターンを格安の労働力として利用してしまおう」
名ばかりインターンシップというヤツだ。

本来、職場体験/職場見学を通した、企業理解、業務理解の場である
インターンシップで、通例アルバイトがやるような
習熟度が求められない業務に従事させ、最低賃金も払わない。

2010年に東京新聞が記事にした時は、ホテルや旅館といった
接客・サービス系の企業だったのも、
インターンをすぐに活用しやすい業態だったからだと思う。

しかし、それから3年が経った現在も、
名ばかりインターンシップは減るどころか増え続けている印象だ。

それは販売・サービス系の企業に限らない。
むしろ、個人的な観測範囲で言えば、
ベンチャー企業、特に新規開拓型の営業部隊を抱える企業に多い印象だ。

ベンチャー企業というのは、当たり前だけど、
人手が少ない。だから雑務だけでも、
ただ働きしてくれる人間がいれば嬉しいのだ。

あとは、「マーケティング」とかいうインターンシップ内容で、
募集して、実態はひたすら電話営業をやらせたり。

この場合は、アポが取れたら数千円といったインセンティブも
設定するのだが、やっぱり時給がないので、
普通にアルバイトを雇うよりも、お金はかからない。

そもそも、こういうことを企業が気軽にできるのは、
大手ナビサイトのインターンシップサイトの掲載が無料という点にある。
だから、お金がないベンチャーには
インターンでいい学生がいれば、そのまま採用したいという
考えもあるのだ。

確かに、ベンチャー企業というのは、組織が小さい分、
そこで一緒に机を並べて過ごすだけで、なんとなく会社というものが分かるし、
ベンチャー企業の経営者というのは、
どこか抜きん出たり、面白い人が多いので、刺激になるとは思う。

でも、「仕事を体験させてやっている」という意味不明な上から目線で、
インターンを格安の労働力として利用する企業がまともなわけがない。

もし、インターンシップへの参加を考えていて、
その先がベンチャーだとしたら、その中身を、
よくよく確かめた方がオススメです。